そもそもブラック企業とは
まず最初にブラック企業の定義を明確にします。
厚生労働省のサイトでは、以下のような特徴のある企業を「ブラック企業」として説明しています。
- 労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す
- 賃金不払残業やパワーハラスメントが横行するなど
企業全体のコンプライアンス意識が低い - このような状況下で労働者に対し過度の選別を行う
ブラック企業の特徴
他にもブラック企業には以下のような特徴があります。
- 常に大量の新入社員の採用を繰り返す
- 精神論が多い
- サービス残業が多い
- 各種ハラスメントの横行
セクハラ、モラハラなど - 離職率が高い
- 辞めさせてくれない
ブラック企業に入って
しまうと、辞めるのも大変だし、
社会復帰が困難になることも…
面接でブラック企業を見分ける方法
ネットやSNSでもブラック企業を探したり、特定することはできます。
しかし、確実に見分けるならその企業で行われる面接試験一択。
実際にその企業やそこに
勤める人たちから
得られる情報は多い!
面接時に以下にあてはまる場合、ブラック企業である可能性があります。
- 過度な圧迫面接がある
- 面接で不自然なくらいに誉めてくる
- 面接1回のみでその場で内定が出る
- 面接が多すぎる/途中で追加される
- 募集要項と違う条件を面接で提示される
- 体力面や古い価値観についての質問ばかり
- 面接官や社員の様子がおかしい
- 企業の設備に問題がある
- 面接の日程や時間に問題がある
順番に解説します。
過度な圧迫面接がある
徐々に減ってはきているものの、圧迫面接は面接手法の1つとして確かに存在します。
目的は、ストレス耐性などを見定めるため。
しかし、海外では圧迫面接が侮辱罪などに該当する事例も出ています。
問題は圧迫面接そのものではありません。
時代の流れに逆行するように面接を受けに来た人を試したり、過度な圧迫面接をする文化が”ブラック”なのです。
人を見定める方法は他にも
あるのに圧迫面接に固執
するのがブラックの特徴
過度な圧迫面接にあってしまったら…
圧迫面接で「尊厳を傷つけられている」と感じたら、毅然とした態度で「NO」を言うことが大事。
その場では対抗が難しい場合は、証拠抑えしまう方法もあります。
詳しくは、「面接時の自己防衛!無断録音した音声の活用方法と注意点【ハラスメントの証拠になる】」をご覧ください。
面接で不自然なくらいに誉めてくる
ブラック企業の面接での特徴は圧迫面接だけではありません。
その反対に「不自然なくらいに共感されたり褒められる」というのも危険サイン。
前提には、ブラック企業は常に人員不足という実態があります。
とにかく入社を
させようとする態度
には要注意!
面接1回のみでその場で内定が出る
選考期間や回数が極端に少なく、とにかく内定を出そうとしてくる会社にも注意が必要です。
理由は前述の通り、
「とにかく仕事をこなす
兵隊がほしい」から!
その他、選考をムリに進めようとしてくる企業にも気をつけましょう。
面接が多すぎる/途中で追加される
逆に面接が多すぎたり、途中で追加されるのも問題があるかもしれません。
もちろん、「志望者が多く、選考に時間がかかっている」とも言えます。
しかし、それだけこちらに負担をかけているのは事実。
各面接の目的/内容や出席者、
面接が追加された理由などの
説明がなければ疑いの余地あり!
募集要項と違う条件を面接で提示される
面接で提示される条件が募集要項と違う場合は特に注意が必要です。
例えば、正社員で募集をしているのに面接では非正規採用をしようとするといったもの。
その調子だと、入社時や
入社後にも条件が大幅に
変わる可能性がある…
面接での情報更新や変更が大きい企業には特に注意しましょう。
体力面や古い価値観/精神論についての質問ばかり
以下のようにあなたの体力面を確認したり、古い価値観を押し付けるような質問が多いのは危険信号です。
- 「2、3日くらい寝ないでもパフォーマンスを落とさないですか?」
- 「会社では上司が帰宅してから帰るのが普通だと思いますよね?」
こうした企業は、長時間労働を無理強いしたり、時代にそぐわない価値観の企業である可能性が極めて高いです。
面接官や社員の様子がおかしい
面接官や社員の様子にも気を配りましょう。
以下のように態度が不自然な場合は、職場環境に問題がある場合がほとんどです。
- イライラした人が多い
- 顔色が悪い
- 死んだ魚の目をしている
- 常に不自然な笑みを浮かべている
- 役職が上の人に萎縮する雰囲気がある
-
ゆきこさん
面接で聞かれることだけ
じゃなく、面接官や社員の
様子もチェックしよう
企業の設備に問題がある
人だけではなく、企業が入っているビルや設備の様子も要チェックです。
- 掃除がなされていない
- ガラスやロッカーの破損
- 段ボールだらけ
- 自然光がほぼ入らいない
- 分煙されていない
- トイレが汚い
- オフィスが臭い
一概にブラック企業とは
言えないけど、こんな
環境じゃ働きたくない…
面接の日程や時間に問題がある
面接日時の決め方でも、ブラック企業かどうか見分ける方法はあります。
正当な理由なく、以下に当てはまるようであれば危険信号。
- 突然面接日が決定(変更)する
- 面接開始時間が遅い
- 選考ステップが明示されない
その他、「面接に関する質問を極端に嫌がる」など不誠実な対応をされた場合は、こちらも信頼するはありません。
ひどいと面接の時間を
守らなかったり、面接官が
遅刻するケースも…
面接”以外”でブラック企業を見分ける方法
最後に面接”以外”の要素でブラック企業を見分ける方法をいくつか紹介します。
- 企業サイトがない/HPの内容が乏しい
- 勤務条件や待遇などが明示されない
- 離職率や平均勤続年数などの情報が一切出てこない
- 入社時に高額の業務用品の購入を強制される
- 新卒研修の内容が異常なほど体育会系
わかりやすい指標は離職率。
一般的には「3年以内に約30%が離職する」と言われています。
このため、離職率が
40%を超えていたら危険、
30%代後半は要注意!
実際にあったブラック企業の経験談
研修の内容を言うとどこの会社かわかってしまうかもしれませんので言えませんが、新人研修が業務にまったく関係のない肉体労働のような内容でした。
山奥で3日徹夜させられました。
研修修了後、自分含めて5人ほど辞めました。
コアタイム制度があるのに実際は使われていない形式だけの制度。
都合によって15時退社も可能だと聞いていたのに、職場の雰囲気がそれを許さない。
残業しないと社内でいじめにあいます。
自由な社風と聞いて入社したのに、実際は完全トップダウン。
とにかく会社のルールや決まり、上司の意見に従うことが求められる。
「やらされている感」しかない…
職場がとにかく汚い。
トイレはもちろん、冷蔵庫の中には賞味期限の切れた食べ物が散乱。
異臭を放っていた。
入社してからの挨拶をやたら大きな声で求められる。
「おはようございます」や「お疲れ様でした」は普通に言えば問題ないのでは?
説明会や面接に登場した社員の方はとてもよい人だった。
しかし、入社後の直属の上司が『THE・パワハラ』という感じの人。
毎日怒鳴られていて、このままだと3ヶ月も持ちません。
どんなに有名企業でもヤバい人はいる。
毎年の社員旅行が一部自費で強制であることを入社後に知った。
数万レベルの支出になるので、勘弁してほしい。
任意にしてほしい。
有名企業でも入社して
からブラック企業だという
ことが判明する場合も…
自分にとってのブラック企業の基準を持っておこう
面接でのブラック企業の見抜き方や実際のブラック企業体験談を紹介してきました。
最後に「ブラック企業」と感じるかどうかは人それぞれという話をします。
企業のアピールする特徴はメリデメ両方の観点でみること
企業がアピールする制度や特徴は鵜呑みにしなようにしましょう。
よい部分と悪い部分、メリットとデメリット両方の観点でチェックすることが大切です。
多くの人にとっては
よくてもあなたにとっては
『ブラック制度』かも!
例えば、以下のような企業についてあなたは入社したいと思いますか?
- 毎週末飲み会があり基本的にオール参加必須
- サークル制度があり、所属は必須
- 残業に厳しい
- 完全テレワーク
上記のような企業は
多いです。その特徴の
メリデメを考えてみよう
メリット | デメリット | |
飲み会/サークル |
|
|
残業に厳しい | はやめに帰宅できる |
|
完全テレワーク | 通勤しなくてよい |
|
みんなにとっては普通の
企業でも、あなたにとっては
ブラック企業かも…
言葉のイメージだけに囚われず、総合的に判断しないと、入社してから「自分には合わない企業だった…」ということになりかねません。
「この価値観だけは譲れない!」という自分にとってのブラック企業の基準を持っておくのが、入社後に後悔しないコツです。
面接でわかる!ホワイト企業の特徴と見分け方
ブラック企業の見分け方や特徴について解説してきました。
続いて、「ホワイト企業」、つまり、ブラック企業とは程遠い部類に入る企業の特徴を解説します。
大前提として、ホワイト企業の明確な定義はありません。
ホワイト企業の特徴
定義はないものの、以下のような特徴に当てはまるとホワイト企業認定されることが多いです。
- 離職率が低い
- 残業が少ない
- 年間休日日数が多い
- 有給消化率が高い
- 労働組合がある
- 福利厚生が充実している
- 各種制度が整備されている
- 家事や育児をしながら働きやすい
- オフィス環境が快適
- フレックス制度がある
- テレワーク制度がある など
面接ではオフィスの
雰囲気や設備をしっかり
チェックしておこう
「給料が高い」はブラック企業の可能性も
給料や年収が高いことをホワイト企業の特徴だと思っている人もいますが、注意が必要です。
以下のように、給料はいかようにでも見せ方を変えることができるためです。
給与レベル | ブラック企業の可能性 |
高い |
|
低い |
|
年収を高く見せて
くる企業もあるので、
だまされなように!
「残業はどれくらいありますか?」以外の確認のコツ
ホワイト企業の特徴の1つに残業が少ないことが挙げられます。
「ワークライフバランスを
大切にしている企業」と
言い換えることもできる!
しかし、「残業はどれくらいありますか?」という質問は基本NG。
プライベートを優先する印象を与えてしまい、印象が悪くなるためです。
ブラックかホワイトかを見極める残業実態の確認方法
ストレートに聞くのではなく、以下のように会社に興味を持っていることを示しつつ質問するのがコツです。
- 「繁忙期や閑散期はありますか?」
- 「1日のスケジュールを教えてください」
- 「皆さん終業後はどうのように過ごされているんですか?」
- 「緊急対応の場合はどのような業務の仕方になるのでしょうか?」
これらの質問の回答から、
どの程度忙しいのかは
ある程度予測できる!
ブラックorホワイト企業判定は就活アドバイザーの意見も参考に
ここまで解説してきた通り、ブラック企業の特徴や見分け方は確実にあります。
しかし、あなたの志望企業が
ブラックかどうかまで断定
するのは難しいのも事実。
そこでおすすめなのが、「就職支援エージェントサービス」の利用。
就活アドバイザーがいるので、以下のようなメリットがあります。
- 募集要項の正確な見方を教えてくれる
- 企業の実態把握の精度があがる
- 自分にとってブラックかホワイトかアドバイスがもらえる
エージェント経由の企業
なら、完全ブラック企業
の可能性が低い場合が多い
詳しくは、「ホワイト企業の内定者がつかったおすすめの就活支援サービス」をご覧ください。
まとめ:ブラック企業かどうかを見極めつつ価値観に合う企業を探そう
「面接でブラック企業を見分ける方法」を中心に解説してきました。
- 過度な圧迫面接がある
- 面接で不自然なくらいに誉めてくる
- 面接1回のみでその場で内定が出る
- 面接が多すぎる/途中で追加される
- 募集要項と違う条件を面接で提示される
- 体力面や古い価値観についての質問ばかり
- 面接官や社員の様子がおかしい
- 企業の設備に問題がある
- 面接の日程や時間に問題がある
一番大事なことは、自分自身が大切にする価値観に合った企業選びをすることです。
ホワイト企業判定されて
いてもあなたにとっては
ブラック企業かも…